2020 July

 

 
 
 
早朝から深夜まで、一日として同じスケジュールの日はないデザイナーの私にとって「ルーティーン」という言葉は憧れでもあった。外出自粛でほとんどの打ち合わせがオンラインになり、会食や撮影、オープニングなどのイベントは全てキャンセルになったこの3ヶ月、初めてのルーティーン生活がスタート。決算を控えた経理やデータの整理もあっさり終わり「ルーティーンの魔法」にかかったよう。

 

 

   
 
 
全てがストップし生て活が一変したこの春、長く続いた外出自粛で流れていく「時間」の大切さを考えたのは私だけではないはず。新しい生活様式にリセット、すっきりとした7月のスタートにふさわしい雲一つない空が暮れて行く。

 

 

 
 
 
今年は外出自粛で春先に出かける事がなく全く袖を通すことの無かった春物、季節の移り変わりを楽しむ間もなく夏になる。感染拡大防止のため3密を避ける・・・、撮影に合わせてワードローブを選ぶことも当面はなさそう。

 

 

 
 
梅雨に入り雨ばかりの日々が続く。紫陽花もそろそろ終わり、湿度に包まれ霧がかかったような鬱蒼とした濃い緑に夏の始まりを感じる朝。川のせせらぎが静かに聞こえる涼やかな梅雨の晴れ間。

 

 

 
 
 
卒業、入学、新社会人、そして御退官や春の叙勲のお祝いもコロナウィルスによる緊急事態宣言ですっかり飛ばしたまま夏になる。お会いすることはまだ叶わないけれどせめて気持ちだけでも・・・、お贈りする品物すら選べない状況もようやく解除、自作のカードにメッセージを添えてパッケージをデザインするのも久しぶり。

 

 

 
 
 
外出自粛による実店舗の臨時休業が続く中、通販やオンラインはいつになく好調だったこの春。ストックの整理をする時間もなくひたすら忙しかった。ようやく一段落を迎えたかと思うと今年は再び来るかも知れない緊急事態に備えて既にクリスマスの打ち合わせ・・・。

 

 

 
 
 
新型コロナウィルスの感染核拡大が再び心配される中、都知事選の日を迎える。普段は騒がしい街頭演説も少なくオンラインでの選挙活動と異例の選挙。会場の小学校も飛沫感染防止のためのシートが張り巡らされ、フェースシールドをした係の方がゴムの手袋で消毒用のアルコールスプレーを持ち誰一人喋らない。全てがいつもとは違う不思議な雰囲気、投票用紙が箱に落ちるかすかな音だけが聴こえる。

 

 

 
 
今年は久しぶりの本格的な梅雨、毎日本当によく雨が降る。外出自粛以来すっかりルーティーンになっている朝夕のトレーニングも難しい季節のはずが、なぜかその時間だけ奇跡的に晴れる。雨あがりの澄んだ空と美しい夕暮れに癒される。

 

 

 
 
リモートワークが日常化して便利な反面、撮影の打ち合わせはなかなか難しい。サンプルを画像で見つつ合わせるビジューを選ぶ、という手順にも少しずつ慣れて来たけれどその質感や重量感は伝わらない。何より大変なのは細かく仕分けし梱包して送り出す事、スタイリストさんはその梱包をほどき再び戻し・・・、普段の数倍の時間と手間がかかる。

 

 

 
 
 
「軽くて滑りが良く、扱いやすいモノ」が好きなのはデイリーウェアも同じ。アトリエ用に着なくなったパーカーをリメイク、リブや縁、チャックなどのパーツをカットして切りっぱなしのカーディガンに。サラサラした素材の縫い目のないカーディガン、小さく畳んでバッグの中に入りそう。

 

 

 
 
 
4月の緊急事態宣言以来、スポーツジムもテニスクラブもお休みで運動不足解消のために始めたバドミントン、すっかりルーティンになりほぼ毎日練習することに。とうとう本格的な道具を揃えたくなりラケットショップでひとまず下見、テニスでお世話になっているお店の方に「バドミントンを始めたのですね?」と驚かれつついろいろ教えて頂く。

 

 

   
 
 
外出自粛の期間にひたすら整理し続けたポートフォリオや資料も全て出揃い作業もスムーズ。忙しい忙しいと、毎日の仕事に追われおろそかになっていた「仕事の周辺」を整理・整頓する貴重な時間でもあったと改めて思う。何よりも「溜めないこと」、と心に誓うけれど・・・。

 

 

 
 
今年の上半期は世界中がコロナに翻弄され全てが一変・・・、オリンピックのために整えた羽田発着用の航路を飛ぶ飛行機が遠くに見える。機内にはどのくらいの人が乗っているのだろう?仕事の一段落にほっとしつつ美しい夕焼けを眺める。以前はこんな時間も習慣もなかった・・・。

 

 

 
 
以前は小さなロットでも発注出来た撮影用の布やシート、コロナ以来ジュエリー関係のツールや撮影用のグッズの入荷は殆ど未定。仕方なくアトリエで自作のためトライアル用のサンプルを調達に。美しいリボンやレース、可愛らしいボタンなどが溢れ温かな気持ちになる。

 

 

 
 
 
撮影時にジュエリーのバックに敷く布は色のチョイスが難しい。天然石の色は見た目以上に薄く柔らか、透明度も高いのでバックの色が透けてしまうことも。毛足の無いポリエステルは光ってしまう事もありアイロンの掛け方もデリケート、撮影用の小さなアイロンで滑るようにプレスしていく。

 

 

 
 
緊急事態宣言の外出自粛以来、週末の公園や緑地は家族連れで賑やか。久しぶりに自転車に乗りいつもの公園から少し足を延ばしてみる。貴重な梅雨の晴れ間、広々とした草原のような「原っぱ」と青空を流れる雲、絵本のような光景と爽やかな草の匂いに癒される。

 

 

   
 
 
世の中の回転が速くなりスケジュールが年々前倒しになり焦ることも多いけれど、今年はコロナ関連で「いつ再び緊急事態になるかわからない」という特殊な前提のもと既にクリスマスの撮影準備が始まる。

 

 

   
 
 
7月に入って雨が降らなかった日は一日しかない・・・。延々に雨が続く長い梅雨、コロナウィルスに記録的豪雨と様々に大変な一年。学校も一斉休校が解除になり時差通学、高校と小学校の時差が重なってしまい道に傘が溢れる事態に。梅雨明けが待ち遠しい・・・。

 

 

 
 
本当に延々と降り続く雨、気分転換にお茶にも出られずバドミントンもなかなか出来ない。仕方なくラケットやシューズのお手入れ、グリップテープを巻き直す。テニス部だった中等科時代は友人達のラケットを一気に引き受けていたことを思い出す。微妙に重ねて引っ張りながら巻き切ったところをテープで押さえて・・・、「グリップテープ職人」にでもなれそう。

 

 

 
 
 
7月だというのにアトリエは既にクリスマス納品が佳境・・・。年々早まる前倒しに加えて今年はコロナの緊急事態、「いつどのような事態になっても間に合うように」とひたすら先を急ぐ。気忙しさも前倒しの中、美しいクリスタルの光に癒される。

 

 

 
 
一週間ぶりの太陽に誰もが嬉しそうな日曜日、真夏のような日差しに大きな木の木陰でひと休み。コロナ以前は立ち寄ることもなかった公園の爽やかな朝、太陽の光をさんさんと浴びて気持ちよさそうなオオバコやシロツメクサが一面に広がる。

 

 

 
 
 
オンラインの打ち合わせでは実物を見ながらの話し合いが出来ないためあらかじめサンプルを発送、梱包作業が延々に続く。カタログ撮影も例年の倍の時間と作業量、リモートでどこまで出来るのか新しいトライアル。ベルトコンベア方式で送り出せるように梱包材を各サイズに裁断してセッティング、ファクトリーのようなアトリエ。

 

 

 
 
通常なら貸し出しリストと実物を対面で受け渡す作業も殆どが「オンラインと宅配」、形の違うモノをそれぞれに梱包する手間も大変なもの。お修理の返品やギフトのリクエストなど、毎日大変な数の宅配便を送り出す。どこに何を送ったか?覚えて居られないので全て写真で記録、オンラインの煩雑さと効率の悪さは当面続きそう。せめてお客様が喜んで下されば・・・。

 

 

   
 
 
本来ならオリンピック直前の4連休前日、「GOTOキャンペーン」は大混乱、街には自粛ムードが漂う。オリンピック競技大会特別措置法により2020年は例外的にオリンピック前日を「海の日」に、開会式当日を「スポーツの日」、閉会式翌日の8月10日を「山の日」に決めたというのに・・・。誰も居ないテニスショップで新しいシューズを選ぶ。

 

 

 
 
アトリエは連休も関係なく延々と納品・梱包作業が続く。感染者も日々増え続け本来なら緊急事態宣言のレベルとはいえ、経済活動を考えるともはやGWのようにSTAY HOMEとも行かず、更に「GOTOキャンペーン」・・・。全てが大混乱の4連休が始まる。

 

 

   
 
 
東京都はGOTOキャンペーンから除外され、更に都知事の外出自粛要請・・・。様々に混乱の中始まった「オリンピックのために作られた4連休」、お盆のように静かな街が何とも切ない。アトリエで普段はなかなか出来ない細々とした作業をする楽しい時間、作品の写真を貼ったグリーティングカードを作る。手作りのカードに季節のご挨拶、メールが普及した今もお客様には手書きのカードをお送りしたい、そしてこんなアナログな習慣を大切にしたいもの。

 

 

 
 
本来ならオリンピック開会式の朝、薄曇りでも雨が降っていないだけラッキーと早朝の高速に乗り110日ぶりに軽井沢へ。久しぶりの遠出にいつもは見慣れた橋もNYのブルックリン橋でも渡るような気分、パノラミックな景観に何とも言えない解放感。

 

 

 
 
我が家への道もこの数か月の間に冬から春、そして夏へと季節は移り木々が生い茂る。鬱蒼とした緑に包まれた屋根が見えて来ると何とも感無量、しっとりした森の匂いも久しぶり。

 

 

 
 
爽やかな朝の森でひとまずコーヒーブレイク、生い茂った木々を眺めつつこの不思議な数か月を想う。晴れ間を縫ってプチバーベキューのランチを敢行、パラソルのおかげで小雨くらいならしのげる。長く続いた閉塞感からようやく抜け出し、森の中で頂くバーベキューが殊の外美味しい。

 

 

 
 
晴れ男の主人のおかげか?お天気も何とか持って雨が降らないだけでも素晴らしい・・・、旧知の友人の美術館に伺う。スタッフ以外と会う事の殆どなかったこの数か月、再会を祝いつつもマスクとソーシャルディスタンス。イギリス庭園のような美しいお庭を前にお互いの近況をマスク越しにお喋り、ようやく軽井沢の夏が始まった実感。

 

 

   
 
 
結局夕方は土砂降りの雨、霧に包まれ幻想的な碓井峠を越えて高速に。スキーシーズンは新幹線なので碓井峠を越えるのは一年ぶり、これほど長く軽井沢に来なかったことは初めてかも知れない。コロナウィルスの感染拡大で全てが一変した今年、この先はどうなるのだろう・・・。

 

 

   
 
 
本来なら華々しくオリンピックが開幕していたはずの連休も、コロナの感染拡大防止のための外出自粛とGOTOキャンペーンが交差する妙な展開、そして延々に続く長梅雨。再びアトリエに篭りクリスマス用の納品業務に追われる。あまりに先が見えない現状にクリスマスのことまで考えられないのは私だけではないはず・・・。

 

 

 
 
コロナはともかく季節は移り時は過ぎ、母の残したモノを少しずつ整理する夏が再び巡って来る。私がパリに渡って初めての夏休み、待望の母の来訪。1989年はフランス革命200年祭とエッフェル塔100年祭が重なりパリにとっては記念すべき華やかな年だった。私が無くしてしまった記念切手や絵葉書などが収まった箱、懐かしい思い出が蘇る。今では貴重な数々の絵葉書をファイルに整理する。

 

 

 
 
4月の緊急事態宣言の外出自粛要請以来、ルーティンになった朝のトレーニング。今まで訪れたこともなかった近くの公園も今ではすっかり「ホーム」となり四季折々の草花からその移り変わりを知る。セミの鳴き声が響く早朝、木の枝にセミの抜け殻を見つける。子供の頃に見た羽化の瞬間の幻想的なヴィジュアル、はかないその一生を知り子供ながらにしんみりした理科の時間を思い出す。

 

 

 
 
全てがリモートでオンライン、シンプルになったように聞こえるけれどその実は全てが煩雑に。打ち合わせも本来なら対面で話合いながら決めていく事柄も事前にチョイスしたモノを送り、先方は要るモノをピックアップ、再び梱包して送り返す。普段の数倍の手間がかかる上、事が煩雑過ぎてベストを尽くすには至らない。「どこに何を送ったか?」インデックスのような写真が並ぶ。

 

 

 
 
7月末だというのににまだ梅雨が明けずうんざりするほど毎日雨、最近は「雨が降っていない」だけで嬉しい。それでも夏は始り、再び軽井沢へ。橋を渡り霧に煙る山々が見えてくるともうすぐ碓井峠、ひんやりした山の空気が心地良い。

 

 

   
 
 
今年は記録的に長い梅雨、各地で豪雨災害が相次ぐ。軽井沢への道にも例年は見ない道路脇に積まれた土嚢がその雨量を物語るよう。梅雨明けが待ち遠しい・・・。

 

 

 
 
久しぶりに見る青空、貴重な晴れ間を縫って爽やかな朝の森を抜け旧道まで歩く。軽井沢教会の美しい礼拝堂を静かに拝見、昨年初めて参列した素晴らしいミサを思い出す。

 

 

 
 
 
10時を過ぎて本来なら賑わい始める時間だというのに人っ子一人居ない旧道・・・。GOTOキャンペーンの週末が終わり増え続ける感染者と延々に終わらない梅雨、貸し物件が目立つのも寂しい。

 

 

 
 
 
今は亡きデザイナーの水野正夫さんご夫妻が夏の間だけオープンしていた「キャフェ水野」。旧道の喧騒がウソのように静かな広いテラスと大きな木の木陰、ヨーロッパの避暑地のような素敵なカフェだった。クローズされた2階の窓から道行く人を眺めた懐かしい思い出が蘇る。

 

 

 
 
変わりやすいお天気は相変わらず、雨が降っても良いようにパラソルを広げプチバーベキューのランチ。午後は友人のガラスの展覧会を拝見し久しぶりにに皆と会う。ようやく友人達も軽井沢に到着し始め懐かしい再会も嬉しい。夕方になっても雨は降らず、森の匂いに包まれテラスでゆっくり寛ぐ。

 

 

   
 
 
オンラインの打ち合わせはデータ量も重くWi-Fiの状況を考える日帰りが望ましいコロナ禍の夏・・・。リモートで場所を選ばないはずがWi-Fiの整備はまだまだ追いつかない。高速から眺めるシュールな夜景を楽しみつつあっという間に東京へ。

 

 

 
 
 
diary index 新型コロナウィルスに世界中が振り回されているまま7月も終わりに・・・。緊急事態宣言により空白の2ヶ月が過ぎ、このままではあっという間に2020年が終わってしまうと焦るのは私だけではないはず。撮影のためのサンプルが並ぶアトリエで再び始まりそうな危険な兆候を想う。 page top

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